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遠くから友達が来る。

 SNSのメイルに「今日、居る?」と軽い感じの問い合わせ、差出人は大学時代の友人。

 「たっつぁん」は年上の同級生、学科も違うのに何故かよく飲んだりしてて、音楽に詳しかった彼にいつもおススメ音楽を訊いたり楽曲の蘊蓄を聞いていた。その指導はいつも的確で、自身の好きな音楽と僕の好みの接点を一瞬で探り当て繰り出して来る、言わば私設のまことに都合のいいディスク・ジョッキーだったので、jazz研の飲み会だろうが、ダンス部の部室だろうが、姿を見つければ声を掛け、雑談〜音楽話をしてもらったものだった。今日は大阪から郷里の信州に戻り、高校山岳部の同級と冬山スキーに行くのでその途中に寄った由。
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 何十年ぶりなのにちっともそんな気がしないのは昨今のインターネット上での付き合いのお陰か、美大時代からひと仕事終えた感のある現在まで、他の友人達の近況等交えながら一通り振り返る。

 昼飯は「とこわか」が臨時休業で「芝ヵ瀬食堂」へ、
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 「煮カツ定食」を食う「たっつあん」。

 工房に戻り、珈琲にうるさそうな友人の為に「美美」のコーヒー豆を挽いてドリップ。
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 「iphone増幅器」に興味があった「たっつぁん」に試聴してもらうも、音楽の指導者のiphoneの中の音楽は何が入っているのか気になって仕方無い。
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 ちょっとことわって中身を見せて貰うと、、、、なんだこりゃ、、?
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 勝新、、、って、、、、、?

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 気を取り直して他を探すと忘れていた音楽が出てくる出てくる、昔のFM番組、「クロスオーバー・イレブン」のメインテーマとエンディングテーマが入っていて、これには正直降参、増幅器で聞いて盛り上がる。

 
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 D.Jの〆の1曲は、クインシー・ジョーンズ+ジェームス・イングラムの「Just once」。
 イントロでもう気分は大昔、「どうせ、おまえは、チークタイムを待ってたクチだろう!」と、どストライクな指摘を受ける。

 帰りがけにたっつぁんの山道具を拝見、電力会社の作業員さんが鉄塔の監視に行く時に使うのと同じ型のテレマークスキー、かっこいい!!
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 国道19号で帰ると言うたっつぁんを見送り、楽曲リストを見直す。
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 差し詰めこれは復習テストか? またゆっくり会って、音楽を聴いて、飲んで、その時は「ひとりU.S.A for Africa」カラオケでよろしく!!


 
by t-h-arch | 2015-02-12 17:42 | 日常

「柴田印刷」について。

 木版画をやっている女性が、工房を訪ねたいとのことでお迎えした。
 ひとことで「版画」と言っても多様だから、話を伺ってみると彼女の版画は「西洋木版画」のことだった。

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 「西洋木版」と言われているのは木の木口を版面に使った、昔の挿絵用の版木と理解している。
 昔、J.テニエルやM.C.エッシャーをイメージして細かな木版を彫ろうとしたことがあったが、残念ながら知識不足で普通の柾目板を使い細めの彫刻刀で彫ったので、当然のように挫折してしまった。
 その後、父に教わり木口を使った細かい図柄の版木を見ることがあり、エッチングの技法に似た彫り方をすることも知った。

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 版木には固く目の詰まった樹種、黄楊(つげ)を使うそうだ。 分類上、高木と言われてもそんなに大きな黄楊の木は見たことが無く、木口の面積は木の太さに準じるから、版木の大きさは限られる。大きなものを刷るには集成材を拵えて使うようだが、同じ黄楊を材に使う根付(ねつけ)よりも材積を食う割に仕入が難しそうだ。

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 彫る工具はエッチングのニードルとは少し違うビュラン(Burin)を使う、僕も彫刻刀の柄を長いもので据え、先っぽを胸のあたりで押しながら刃先に近い部分をコントロールして彫る癖があるが、ビュランはそのように両手を使い彫る。

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 さて、この木版画家・柴田さんは、当工房を訪ね、以前からの知己であった弟子宅に一泊し、同年輩の仲間達と痛飲しながら語る中で、自身を「印刷屋」と位置づけし木口木版を続けようと思い立ったらしい、帰京された日に来房のお礼の電話で「柴田印刷」として版画を刷る由ご挨拶があった。

 そもそもが活字とは別に、挿絵を印刷する為にあった木口木版を、これからどう使って貰うのかを考えるのは楽しい、印章や家紋などはもちろん、名刺や蔵書カード、小さな紙片に印刷を施したい時にそれに特別な価値を加えたいのなら、木口木版画はぴったりだと思う。
 木口木版の印刷にはそれなりの技術が必要だから印刷までを請け負うも良し、少し器用な人であれば自身での印刷も可能だから版木を渡して刷って貰うのも良し、体験会などを開けばさらに楽しいのではないだろうか。

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 この小さな画を刷って、何分の何枚とナンバリングをし、額に入れて展示し作品として売るのもいいだろう。
 だが、最初にこの技法から生まれたものを見た時、何か心を動かされてそれに向かったとしたら、それはもしかしたらこの技法が生まれて、この技法で作られて、この技法で出来たものが使われた、その過程の「用」から生まれた美しさではないだろうか。

 印刷店が刷る印刷にナンバリングは要らない、「柴田印刷」という版画への向き合い方は、僕にとっては何か安心できる、ごく自然な方法であるように思えたことだった。

 
by t-h-arch | 2015-02-07 18:32 | 木工