<   2010年 06月 ( 14 )   > この月の画像一覧

先代作のチェスト

 先代の顧客宅を訪ねる。 娘さんが家を建てられるのを任されたので、家具や荷物を計画に活かすべくお邪魔することになった。 家具調度、洋服や荷物をあらかた下見して最後に案内して頂いたのがこの部屋。

 杣工房先代作のチェストが2台、仲よく並んでいた。
a0125305_16261939.jpg


 懐かしく見ていると、制作当時気になっていたことがほとんど感じられなくなっていることに気づく。 
 このチェストは栗の木で出来ているが、出来上がったときは真っ白に近い色で、これの姉妹品を東京国立近代美術館工芸館の展示に出品させてもらった折、脂の乗り切った世代の建築家や木工家(!)の方々数名が「ひのきで出来たチェスト」と間違えて文章に記される程だった。 日の光や空気が材の色を変え、いい感じになってきた時がこのチェストの本当の姿なのだなと思う。 

 帰りがけにお茶を頂いていて、ベランダの椅子が気になったので写真に取らせてもらう。
a0125305_16353980.jpg


 年期の入ったデッキ・チェア。ここまで大事にされて、幸せな家具達だなぁと思う。
by t-h-arch | 2010-06-28 23:20 | 木工

池の水

 顧客の別荘にある池の水利計画を考え直すよう言いつかり、水が抜いてある池を下見に。
a0125305_16112212.jpg


 いつもは水があるところを歩くのはおかしな気分だが、何だか楽しかったりもする。
a0125305_16114558.jpg


 この場所は公共用水が整備されるより以前からあって、山から流れて来る水を取水していたのだが、用水整備とともに土砂は流入するし、泥抜きをすればそれは用水に流せないし、管理が大変になってきていた。どうやら、問題店は取水側にあるようなので、顧客に伝えるべく写真を取って別荘を後にする。

 建築への無関心さ(建築コストや建材の流行には大いに感心が集まる所だが)と共に、作庭というものもどんどん廃れて来ているようだ。とくに和風庭園はガーデニング・ブームにも押され、次代を担う世代には理解が薄いように感じる。 庭というものは旅館か料理店で見るもの、となっていくのは何とも残念なことだがこの時勢では何とも致し方ない、この場所も出来れば多くの人の目に触れるような場所に、と現在長期計画でソフトウエアを準備中である。
 
by t-h-arch | 2010-06-25 22:53 | 建築

七輪

 弟子2号の自宅(借家)の庭の塀を設置するのを手伝ったら、お礼にお招きに預かった。

 昔、タバコ屋だった旧い、小さな一戸建ては、南側に庭に面した縁側があり、先に弟子の友人が来ていて縁側先で七輪に火を熾していた。

 焼き物は当地名物の「けいちゃん」。僕の同級生「まこちゃん」の店「田内鶏肉店」の人気商品だ。
 今回、既存のタレ味に加えて「塩味」がラインナップに加わったとのことでそれを買って来ていた。
a0125305_1359301.jpg


 新品の七輪が何とも初々しい、焼き加減も上々。ビールも旨い。
a0125305_142594.jpg


 弟子はヘルシーなひとなので、野菜も食べる。
a0125305_1425665.jpg

 アスパラガスやズッキーニ、パプリカの炭焼きは甘くておいしい。

 下手な鉄板製のバーベキューグリルより、七輪の方が効率も良く焼け具合もいい。大量に一度にはムリがあるが、秋にはサンマも焼けるしパーソナルユーズには持ってこいか。

 梅雨入りは過ぎたが、今日は好天、塀越しの月を眺め、半分居眠りながら若い人達の話に耳を傾ける。 
a0125305_1492069.jpg

by t-h-arch | 2010-06-24 23:52 | 日常

チキンライス

 夕食はチキンライス。 グリンピース入りなので景色がいい。
a0125305_1325455.jpg


 杣工房先代の大好物、と言うより先代はトマトケチャップが好きだったのだろう。
 余りご飯があれば「チキンライスを、、」と言い、誕生日の夕食には必ずケチャップだけで炒めたスパゲティがおかずと別に山盛り付くことになっていた。

 三田誠広のエッセイに若い頃、何にでもケチャップをかけて食べていた様が書かれているが、ケチャップには象徴的な、それに拘泥させてしまうような何かがあるのだろうか。

 となりでは坊主が「もう少しケチャップを、、」と言っている。   遺伝かぁ、、、。
by t-h-arch | 2010-06-21 22:22 | 日常

木皿。

 ホームページ作成の仕事をしているお客さんから、木皿を頼んで頂く。
「手で荒く削った、塗装をしない木の皿にイチゴをのせた写真を撮りたい」というご希望。
 簡単な絵を描いて、一応の同意は得たものの、人によって、形への思いは違うので、まずは作ってみることにする。

 日曜の工房でひとり、コンコンやっていると、気分も落ち着いていい感じだ。途中はどうしようかなと思うこともあったが、自然に形はできていく。よく、通ぶったひとが、「ここをもうひと削りすれば」などと言ったりするが、やらない人の安直な考えだなということがこういう作業をしているとよく判る。削ってもよし、削らなくてもよし、だ。

 仕上がり直前の写真。
a0125305_10494822.jpg

a0125305_10502577.jpg


 皿のくぼみはレンゲ鑿で、外側は銑で削った。縁は小刀で少し面を取った。
 3種類の刃物と治具があれば作れるということだが、それぞれクセのある工具なので、却って楽しい。 治具と言えば、先日工房を掃除した折りに当て台をまとめて片付けたのだが、それが見つからず、玄翁を忘れた大工のように、数十分ウロウロしてしまった。結局新しく作ったがこれが無いと始まらないという道具は実は刃物以外であることが多いように思う。

 銑の削り肌。
a0125305_10582121.jpg


 銑(せん)を使っていて一番ケガをするのが親指だ、削り角度を調整するのに一番重要でもあり、一番浮いた存在になるのが親指の指先、思いもかけない時にザックリいってしまったりする。

a0125305_111412.jpg


 作り始めから丁度2時間ほどで出来上がる。写真を撮って依頼主に送り、学校帰りの弟子が寄ったので、講評を受け、夕食の電話が来たので帰る。
by t-h-arch | 2010-06-20 21:14 | 木工

姫栗訪問。

 姫栗という場所にある山荘を訪ねる。 この山荘は10数年前に建てさせていただいたもの、外部の木製デッキが劣化したので、その改修の打ち合せに出向いた。

 10年余を経て、内装材はどんどん良くなっている。若さ故、気負ってシンプルという言葉にこだわり過ぎた感のあった和室も経年変化とともに何とか落ち着いて見えるようになった。
a0125305_0503990.jpg


 打ち合せが終わり、奥さんがお茶を入れて下さる間、しばし4帖半の和室でぼーっとする。
a0125305_0532973.jpg


 天井の鼠子(ねずこ)の板はまだ匂いがする。住まい手は慣れてしまって意識されていないだろうが、独特の香りに包まれる。
a0125305_0565151.jpg



 久しぶりに杣工房先代作のベンチにも会う。新築当時は浮いたような印象を持ったが、今ではしっくりなじんでいると言っていただき嬉しく思う。
a0125305_10245.jpg


 当時、実質的に設計への注文主だった奥さんは、特異な感覚で僕に抽象的な希望を言われ、それを読み解くのに時間をかけることを許して下さった。歳月を重ね、今日、奥さんは僕の弟子に人生を説いて下さっている。
 続けてゆく時間の大切さを改めて感じた午后だった。
by t-h-arch | 2010-06-18 22:45 | 建築

梅雨入り。

 どうやら梅雨入りしたようだ。 連夜ひどく雨が降り、気圧は低く湿気も多い。
a0125305_232582.jpg


 子供が「きいちごがなったよ」と言う。
a0125305_23262765.jpg


 5月の連休頃に建前をして、梅雨入り前に壁を着けて、梅雨の間にゆっくり乾かして、という手順を今年は踏むことが出来なかった。仕方の無いことだが、何となく1年をムダにしてしまったような(大げさだが)感じがつきまとう。 来年こそは!と念じる。
by t-h-arch | 2010-06-17 23:20 | 日常

茅巻き

 宵節句では食べ損ねたが、ちゃんと茅巻きを食べることに。
a0125305_23112189.jpg


 上見屋の若主人がお節句にと届けて下さる、茅(ちがや)とい草の取り合わせが綺麗だ。

 味がついていて、ほんのりと甘い。 僕の祖母が作るのは砂糖が入らない塩団子で、茅を剝いてから白砂糖をつけて食べていた。

 素材(外装も含めて)に手を抜かないところはさすが老舗である。 有り難く頂戴する。
by t-h-arch | 2010-06-16 23:09 | 日常

朴葉寿司と宵節句。

 夕食は「朴葉寿司」。もともと農繁期の弁当として作られたものらしい、年寄りの中には箸を使わず食べるのが上手な人がいる。

 
a0125305_1514175.jpg


 具は酢〆の鮭・生姜・卵焼き・椎茸・蕗・淡竹・山椒の芽。
 蕗は家の廻りにある2種類の蕗、母親は「山蕗(やまぶき)」と「宿屋蕗(やどやぶき)」と呼んでいてそれぞれ味が違う。
 淡竹は工房横の廃屋の竹やぶに生える。ここにも普通の淡竹と亀甲竹に似た種類のと2種類が生えていてそれぞれを食べる。
 山椒は家の谷沿いと裏の畑脇にあるが、両方とも女木で実をつける。小さい葉の方が体裁はいいが、味が良いのは実はある程度大きいもの。 具のアップ。
a0125305_22355048.jpg


 朴葉寿司は作ったその日に食べるのも美味しいが翌日もまた旨い、翌日の分も残して食事を終える。


 今日は「宵節句(よいぜっく:旧暦の端午の節句の前夜)」なので、玄関にもお節句の飾りがしてある。木製の鯉のぼりは先代の作、軒先には菖蒲と蓬の束が吊るされる。
a0125305_22474650.jpg


 本当は茅巻きを食べるところを今年は茅を刈りに行かなかったので、「朴葉餅」で代用する。朴葉寿司のように朴の葉で包んで蒸した餡入りのお団子。
a0125305_22482813.jpg


 風呂にも菖蒲と蓬が浮かべられている。子供の頃、菖蒲で頭にハチマキをすると賢くなると言われ
、子供もそうしている。懐かしい匂いがするが時に蟻がお湯に浮いて居たりもする。
a0125305_2325347.jpg

 先日おねしょをかました坊主に「おねしょが治るようにチ○チ○にも巻いてあげるから」というと本人も苦にしていたのか素直に差し出したので巻いてやった。
 ほのかな匂いがする坊主と一緒に床に入る。
by t-h-arch | 2010-06-15 23:58 | 日常

朴の葉採り。

 今日は「朴葉寿司(ほうばずし)」を作る日。 今年は自宅の朴の木の葉の成長が遅く、遠縁のひとしくんの家の朴葉を分けてもらうよう頼んであったので、朝一で採りに行く。
a0125305_1432465.jpg

 写真真ん中辺りの低い木が朴。ひとしくんの家は旧い農家なので、手入れも良く採り易くなっている。

 朴の木。少し時期は遅く葉の緑色も濃い。寿司の具に入れる破竹の筍の出を待っていたらこの時期になってしまった。ひとしくんのお母さんも手伝ってくれて200枚超の葉を摘む。お母さんは「綺麗なのを持って行ってもらわないと具合が悪い」と仰り、どんどん悪い(と思われる)葉を撥ねるので、採る枚数もどんどん増えていく。
a0125305_14354542.jpg


 旧家の印、御先祖のお墓も裏山にある。
a0125305_1440274.jpg


 裏山から見たひとしくんの家。この山のもう一段奥の山から伐り出した木で作ってある。檜も杉も黒柿も全て自分の山の木、何代もかけて作られた家だ。
a0125305_1447073.jpg

a0125305_14521727.jpg


 お母さんは撥ねた葉を畑に敷くと言って持って行かれる。どんなものもムダにはしない気持ちに頭が下がる。
a0125305_0365059.jpg


 何ともいえない豊かさに包まれた気持ちで、お茶を頂いて、お礼を言って帰る。
by t-h-arch | 2010-06-15 21:28 | 日常