koike drumsのこと.1

 年初に、工房の下の製材所の息子が、「大きいコンパスを貸してくれ」と言って来た。
 なにに使うの?と聞くと、「ドラムを作ろうと思って」と言う。

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 製材所の息子「ヒデくん」は、桶を作る会社に修行に行き、数年前に親の経営する製材所に戻って来た、その桶を作る方法で、地元材でドラムのボディを作りたいと前から相談を受けていたので、とりあえず、ゴニョゴニョ言っていることを聞いてコンパスを貸し、言う通りに型板のようなものを作って渡した。

 次に工房に来た時に、作った桶状のものを持って来た。

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 ヒデくん宅は旧くは公営の下駄工場で、木曽五木と呼ばれる桧や椹などは得意の材料。
その中でも渋い存在の椹(さわら)を使ってスネアドラムのボディを作ったのだが、そのきれいさに見とれてしまった。 

「いいなぁ、、、」と言うと、「いいらぁ、、、」と言い、思わず2人で大笑いした。
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 「泰輔くん(ヒデくんはずっとタメ口)、一緒にドラム作ろうよ」と言われたので、よしよしこれなら協力する作って聴いてもらおう、と乗り気になってしまった。

 桶の作り方は円弧を板に抜いた定規を使って部材を円形になるように削っていく、理屈は円弧の定規に内接するように部材を削り合わせれば円形になるというもの、ドラムは桶と違って転ばせない(底側の円周を蓋側の円周より縮めない)からシンプルな工程で部材が作れる。
 厳密に正円では無いのだが、昔の漬物桶はその辺りファジーだしドラムの皮を張るにもそんなに問題は無い、それよりもそのアバウトな感覚で作った桶型ドラムはどんな音になるのだろうか興味があった。桶は部材が縦方向なので、プライ・ウッドやプラスチック製とは明らかに違う音になることもなんとなく想像ができた。

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 作り始めると、色々迷いも出て来る、ヒデくんはほぼ毎夕工房を訪れ、部材の厚みや皮を張る面の巾やテーパーの角度などを工房の工具を使って調整したり、貼り合わせの糊や精度を確かめたりしていたが、最後はほとんどコーヒーを飲みながらyoutubeで、Led zeppelinやSteve gaddを見て、「いいなぁー」と悦に入って、ヒデくんの奥さんが遅いので心配して電話して来ると「今、泰輔くんとこで会議中」などと嘯いていた。
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 ---その.2に続く----
by t-h-arch | 2015-05-19 23:24 | 音楽
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