お引き渡しと台米。

 いよいよ現場の引渡し。 監督の段取りで引渡し作業用のちゃぶ台+座布団セット(カーペット付)が用意され、お客様と引渡し事項を確認、承認を頂く。
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 長い間、本当にお世話になりました、色々と難関もありましたが、何とか事故もケガも無く無事で引渡しまで漕ぎ着けたのは偏ににお施主の人間性のおかげであったと改めて感謝致します。まだ別途残工事もありますのでどうぞ引き続きよろしくお願い致します。
 どこの現場でも引渡しは何だか寂しい、老齢の方がお施主の場合、最終の引き上げの時には泣かれてしまうことも幾度かあったが、我々とて同じ思いをいつもすることだ。

 何となく気の抜けた思いで現場を後にすると、急に忘れていたことを思い出したい気持ちにかられ、考えているうちに車は鉋の台打屋に向かっていた。 名古屋に通うんだからいつでも寄れると思っていたのが、寄ったのは数回、昨年末に思い出し寄ってみたのだが留守で電話をしても不在だったのが何となく気にかかっていた。
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 台米(だいよね)こと大河内さんは在宅で仕事をしていた。が、やはり暮に体調を崩し仕事に復帰したのは最近のことだと言う。やはりイヤな勘は当るものだなぁと思いながら、現場が無事終わったことを報告し、後回しにしている造作中の現場の話をする。
 座敷の床の間の造作に椹や鼠子など鉋泣かせの材料を使おうと思っていると言うと、色々と鉋の仕立のことや鋼や地金の話、砥石の話をしてくれる。
 弟子にそういうクセのある木の削りをさせようと思っていたので、手の小さい弟子に寸六の平台を1台、引渡し記念に買う。「ネズや椹にはいいと思うよ」と台米さんもニヤリとしていた。
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 久々の「台米コーヒー」をよばれ、尽きない話を続け、薄暗くなりかけた頃にようやく帰路につく。
 
by t-h-arch | 2012-02-27 23:08 | 建築
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