ピンホール入り板での食卓製作 その.2

ピンホール入り板はその後特に動きを見せることも無く、天板を丸く抜き、脚部の加工も順調に進んだ。

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卓の天板と脚のバランスは千差万別で色々なパターンが有り得る。
お客様が円形のプランを持つ住宅にお住まいということから、円形の建物の真ん中あたりに置かれる円卓のイメージを想像し、脚部から天板端部までの距離を
先輩方にも相談しながら決めていった。


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脚部は全て柾材、もしくは追い柾材を使い、天板端部に手を付いた時に反対側が持ち上がらないギリギリまで中心に寄せた。
天板に対して脚部を大入れするのが常套手段で、天板に掘り込んだ僅かな寸方分で随分と脚部はしっかりする。
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出来上がり。
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納品は時節柄の事情もあり年を越した。お客様には設置をさせていただきすぐにお暇する由を前もって連絡し、手袋・上履持参、消毒徹底の上御宅に運び込ませて頂いた。

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設置した時点で、もう長いことそこにあるかのような感じがして、またお客様からも同様な感想が述べられ、数分間の納品が終了した。



円形の住宅でこれから使われていく円卓をまた時間が経った後に見せてもらいたいと思った。
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# by t-h-arch | 2021-02-16 15:35 | 木工

ピンホール入り板での食卓製作。

ピンホールとは文字通り針で開けた穴のこと。
小さな虫が木を食べると小さな穴が開く、針とまではいかないが直系数ミリの穴がある板を「ピンホール入り板」とか単に「ピンホール」と呼ぶ。
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ピンホールはその昔江戸差物などで漆をかけた上から火箸で指物表面にフェイクのピンホール痕をつけたほど特色のある材として認識されていた。
昨今は無節の木材への信仰が薄れ、節や多少の傷などをこだわりなく愛でる傾向が増えているように感じるが、それとは別にピンホール材に多くみられる性質の良さは原木からの材料調達を続ける中で実感として我々も認識するところだ。

ピンホール板でのご注文は、上記写真の当工房2階にある会議及び打合せ及び休憩及び雑事用の卓をお客様がブログかSNSでご覧になっているうちにどうしてもピンホール板の食卓が欲しくなりご相談にこられ、直径900ミリの円卓が欲しいというものだった。

ちょうど今から9年前に数年間のシーズニングを終えた丸ごと1本ピンホールの原木を製材していた。当時は広葉樹製品の納品後のトラブルとして「虫が木材内部から出てくる」というケースが頻発しており、外見から見ても明らかにピンホールの入った原木は人気がなく市場からのお願いで手に入れた記憶がある。

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写真はその原木丸太の製材風景(2011/11/12付の当ブログ記事参照)外皮や白太(辺材)は既に無いことから丸太での放置期間が長いことが見て取れる。
この丸太から取った板で直系900ミリに2枚接ぎが出来そうな板を選んでいただき製作を引き受けることになった。

引き受けしたのはもう◯◯ヶ月も前のこと、諸般の事情でお客様には大変お待ち頂いたがやっと製作にかかった。
 
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板を桟積みから下ろし、少し放置する。その間にも変形するものは変形する。



  

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放置して動かないことを確認してから天板を木取る。何とか直系900ミリに仕上がりそうだ。



------次投稿に続く------


# by t-h-arch | 2020-11-16 16:19 | 木工

「かいがし」について

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「かいがし」という通称の由来は、付知町を南北に流れる付知川の東地区という意味の「川東(かわひがし)」
もともとは倉庫しか無く、仕入れ業者に材料をかいがしに運んでおけばいいのか?と尋ねられた関西から来ていた弟子が、「はい、お願いします!」と言ったは良いが工房に戻り「かいがしとは何処のことだ?」と杣工房先代に聞き、笑い話となったことから「かいがしの倉庫」と皆が呼ぶようになった。

 先代が急逝しその後始末に追われる中で、他所に預けていた在庫品家具の置き場に困り倉庫に隣接する古い民家を改装し展示場にすることにした。
 改装にあたり当時の弟子達が、父親を急に失い右往左往する僕を気の毒に思い、少し人数が集まれるような場所にしてくれた、予算も無く材料も限られていた中でよくあれだけやってくれたと今になってしみじみ思う。


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 先代は音楽が好きで隣町の高校の「ギター・マンドリン部」の支援団体に参加したり、隣村加子母村の古い芝居小屋で毎年行われている「明治座クラシック・コンサート」の立上げに協力したりしていたが、自身の工房でも小規模な音楽会を開いていた。
 音楽会は、ジャズや民族音楽、打楽器やフォークソングとジャンルはまちまちで、ちょっとしたインフォメイションをしておいて夕刻から工房を片付け、あるだけの飲み物と食べ物を用意してお客さんを待ち、会費は適当な段ボール箱にそれぞれが寸志を入れその箱を演奏者に渡すというシンプルなもので、演奏終了後は日付が代わるまで皆で話し飲みという楽しいものだった。


先代が居なくなり歌舞音曲は自粛モードだったのだが、展示室の改装が面白いものだったので工房での音楽会を段取りしてくれていた地元のアマチュアギタリスト・ベーシストの原正秀さんに見せると「ここでライブをやろうよ」ということになり以降、この展示室で音楽会を開くことになった。


 「かいがし」の建物は、お城で有名な旧苗木藩の町にあった建物がとりこぼちされる際に当家の人が譲り受けたものを付知に移築したという築100年をゆうに超える年代物、1本として垂直な柱は無く建具もうまく動かない。
トイレは外にあり雨の日は傘をさして行かなければいけないし、改築の折に廃木材を燃して暖をとった名残の薪ストーブこそあるが、冷房は一切なしという割と過酷な環境にある。
 
 ただ、大きな梁や煤けた小屋材、野地に張られた曲がった板などは何とも風景がよくどこか懐かしい気持ちになる、 この間に響く音もどことなく自然で、演奏者のそのままを浮かび上がらせるような印象を受ける。
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 「かいがし」に置かれた在庫品家具は杣工房先代や兄弟子たち、僕自身も加わりそれなりに苦労をして作ったものだが、それらに腰かけたり飲み物を置いたりして使っていただいている。今ではこれほど手間のかかった家具はあまり需要が無いのだがここで見ていただいて関心を持ってもらえたらと思っている。

 かいがしは飲食店ではないので、多少の飲み物と食べ物を用意するだけで、あとは常連さんや義理堅い人の差入れ、弟子や家人のサービスでおもてなしをしている、いつもみなさん本当にありがとうございます。
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 音楽を生で聴くと本当に心が洗われるような気がする、振動が心地よいマッサージのように身体に届き、ウケたりウケなかったりの笑いやお客さん同士の話し声や飲食の音までもが音楽の一部のように伝わってくる、出だしはだいたい固い演奏者も徐々に調子を上げ、ヤジや声援が場を盛り上げ終演以降もそのノリは続くのだった。

Facebookに「かいがし」のページがあります、時期不定でライブの知らせをしますので是非一度足を運んでみてください。







# by t-h-arch | 2019-05-21 19:23 | 音楽

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 ブランド名などと言って浮かれているが、こう無邪気に頼まれると少しはカタチにしてみたくなるのが悪いクセで、、。

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 ヒデくんは発案当初から、5月の連休に付知で毎年行なわれる、木のお祭り「つけち森林(もり)の市」で、ドラムを展示したいと言っていた。
 ただ展示だけじゃつまらないから、ストリートでもいいからジャズくらいのあまりうるさく無い音楽を少し演奏してみたらどうだろう、ブースは杣工房と「ツナガルベンチ」の場所を使えば良いから、と言ってみると、まんざらでもない様子。

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 ヒデくんはいつもはロックバンドでドラムを叩いている一方で、吹奏部出身ということもあり消防音楽隊でのパーカッションとしても演奏をしている、以前から杣工房の展示室兼ライブ小屋「かいがし」でのジャズ・ライブにも脚を運んでもらっていた。ジャズやってみたくない?と聞くと「やりたい!」と言うので、「かいがし」の音楽プロデューサー、原正秀さんに相談に行ってみた。

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 仕事中の原さんを訪ね、お祭りで少し演奏したいんだが、手伝ってもらえないか頼むと「いいよ」と返事が。
 「もう使いどころの無いオレだけど、役に立てるなら笑」と嬉しい言葉も。
 早速、スネアだけが完成したkoike drumsを「かいがし」に持込み、休日の午前中に原さんに相手をして貰う。
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 まだ企画中なのにも関わらず、既に自然発生した応援隊が駆けつけてくれ、ピクニックさながらの雰囲気で、原さんとヒデくんの練習を見守ってくれる。
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 練習は、原さんのベースをヒデくんが追う感じ、「ツクタ、ツクタ、、」というリズムの繰り返しやハイハットの切れを何度も指摘される。

 原さんが、レクチュアの最後に「ヒデくんはいつもはどんなのを演奏してるの?」と聞き、「ファンクっぽいロックが好きです」と言うと「ちょっと叩いてみてよ」と仰る。
 ヒデくんが叩くと、原さんがベースで入り、ちょっとしたセッションになる。これがいい感じで、段々とヒデくんの顔もほころび、聴いている人達も顔を見合わせている。

 「なんか、うまくいくんじゃないの?」と練習を終えて原さんが言った。こんな感じのセッションが木のお祭りの片隅で鳴っていたら気持ちいいだろうなぁと僕も思った。


 
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 遅れて塗装屋さんに入っていたバスドラムやタムも順番に出来てきた。
 塗装を頼まれている「㈲内木木工所」の若社長(兼・職人)、ゆうじくんも段々とコトがヒデくんの趣味の域を脱してきたのが伝わったのか、工房に来るようになった。
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 ヒデくんが「ジョイントを強くしたスネアを作りたい」と言って工房に来た。
 練習の際に、原さんに「楽器はなによりも強度が大切」と繰り返し言われていたのを気にしたのかな、と考えていたら、スネア1台分の材料を渡され、「泰輔くん、これを「雇い実(やといざね」で貼付けるようにしてよ」とかなり上から目線でオーダーされた。
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 「つけち森林の市」も近づき、お祭りの実行委員会でkoike drumsの企画書を配布してみた。
 木のお祭りにふさわしい、地元の若い人達が協力してつくっているものだから、ストリートで演奏とかするけど、色々融通して、皆さんに御理解・ご協力を、と求めると他の実行委員からは良さげな反応が、、、。
 よしよしと思っていると、日頃お世話になっている、お祭りの実行委員会長の地区商工会支部長とお祭りの事務局を担当する商工会職員さんから「ちょっと、、」と呼ばれ、「koike druns、ステージでやらないか?」と言われる。聞けば、ステージのアトラクションが一部空いているのだと言う。それは願っても無い、おまけにお祭りの司会は懇意にしている岐阜のFM局のパーソナリティ達、礼を言ってすぐにヒデくんやゆうじくん、原さんに連絡をする。

 FM局のパーソナリティ達は協力を頼むと二つ返事でO.K、「 FM GIFU」の久世良輔くん、志津利弘くんは2013、2014年の「つけち森林の市」で「ツナガルベンチ」イベントを盛上げてくれた言わば戦友、久世くんは前乗りして付知に入り前夜から盛上げて行こうと言ってくれる。

 原さんは「おおごとになったな笑」と言いながらもタイムテーブルに合わせて選曲し、楽譜を用意してくれる。加えて、知り合いの女性ピアニストを呼んでトリオで演奏できるように段取りをしてくれた。

 ヒデくんはひとり汗をかき、「まいったな、、、」などと言っている。

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 ステージ企画はライブだけでは無く、M.Cを取り込んで、koike drumsの製作がどう起きてどう進んで来たかをトークショー形式でライブの合間に交ぜることになった。メンバーは司会の久世・志津両氏と、ヒデくん、ゆうじくん、弟子、+ 演奏をしてくれる原さん達にもコメントをいただくことになった。
 ゆうじくんが工房に来て「どうやってヒデを盛上げたらいいすか!」と言うので、ヒデくんをいつも庇いながら製作の助手をしている弟子と3人で、今回は地域を盛上げようとしている若い人を取り上げてもらってインタビューしてもらって、という企画では無いんだよ、自分達が作ったものを積極的にPRするんだよ、だから照れや謙遜は要らない、なにをヒデくんが作りたくてその過程でのサポートする自分達の感触はどうだったか、素直に言えばいいんじゃないか、と話しをする。
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 演奏がステージで、トリオで、と変更されたので、これはヤバいということで、原さんの友人のピアニスト・桂川知佐子さんに無理を言って練習をもう一度することにした。

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初めてフルセット揃ったkoike drums、スネア以外は椹(さわら)製。

 原さんの選曲はカーペンターズの「シング」、「ジョージア・オン・マイ・マインド」、「酒とバラの日々」の3曲。 原さん秘蔵のローズ・ピアノを弾けると桂川さんも楽しみにして来て下さった。
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 ヒデくんの物怖じしない(図々しい、アツカマしい、etc)性分が練習を楽しくしている、判らないことは間を考えずに聞き、教わったことは素直に取り入れる、モタモタなフォー・バースも微笑ましく、ドラムは大きな音で鳴っていた。
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 お祭り前日の夜、ゆうじくんと弟子がバスドラムにkoike drumsのロゴを作って貼ってくれ、ヒデくんは仕切りに「かっこいいなぁ、このドラム」と言っていた。
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 ライブはお祭りの2日目。初日は展示と試し打ちのみで、ヒデくんの友人や近隣ドラマーが寄ってくれる。 皆さん、まずはちゃんと鳴るのか心配して来て下さった感が強く、「ちゃんと鳴るじゃないか、それも意外といい音じゃないか!」とちょっと余分に評価してくれたようだった。

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 叩いてもらっていると色々な反応が来る、中でも乳児・幼児からの反応は面白かった
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 2日目、あいにくの雨だったが、ライブ開始時刻には小止みに。
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 写真を撮り忘れたが、予定通りにライブ、トークは進み、会場からの飛び入り参加も盛況、参加者の皆さんと原さん・桂川さんとのセッションもその場をおおいに盛上げてくれた。
ゆうじくんは「世界のkoike drumsに!」と志を語って呉れ、会場は沸いた。

 遠く、東京、埼玉、山梨、大阪、尼崎などから、家族ぐるみでこのライブをわざわざ見に来てくれた人達がいた。みんな昨年、一昨年の「ツナガルベンチ」の参加者だった。

 ドラムを作りたいという思いが、多くの共感を生み、こうしてその出発をたくさんのひとに見て頂けたのは、ヒデくんの人柄が、真面目さが、廻りに連鎖していったからだと思う。
 そこにはそれぞれで自分の生活を楽しむひとが居て、教えてくれたり、世話をしてくれたり、茶々をいれてくれたり、励ましてくれた。
 こうした動きを、ぜひ続けて行かなければならない、そんな気持ちが湧いて出てくるような今回の企画だったと思う。

 最後に、今から6年前、アトラクションとして同じ野外ステージで演奏したヒデくんの写真。
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 この時、こんなことを始めるとはお互い思いもしなかった(当時からタメ口はタメ口だったが、、)。生きているものは侮れない、と強く感じたことだった。  

          -----終了-----



 

 

 
# by t-h-arch | 2015-05-25 16:53 | 音楽

koike drumsのこと.2

 椹で作ったスネアの塗装が上がり、皮も張ったと電話が来た。
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 見た目はとても綺麗な印象、叩いてもらうと意外に大きな音が出て好感が持てる、が、スナッピー(スネアドラム下部の螺旋の細い鉄線)が悪いのか妙に響いてちょっと気になる、スナッピーだけでなく鳴り方もボヨボヨとした感じが少しする。
 何度も聴くうちに普通のスネアと比べて、構造的には問題が無い、材料を替えてみようという話になり、広葉樹はどうだろうと言うことで欅のスネアを作ってみることにした。


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 欅のスネアが出来た。
 材料は少し厚め、広葉樹ならではの変形を考えて余り薄く出来なかった。
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 叩いてみると、椹に比べてパチンとした音が出る、単純な2人組は「こりゃいいぞ!」と調子に乗った。
 2種類作ってみると他の材料でも、と欲が出て来る、色々話しているうちにやはりここは官材(国有林材=樹齢が古いもの)で作らなくちゃ!ということになる。

 檜のスネア(木地)。
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 目方は軽い、檜の官材は目の詰まったものが経年変化すると、針葉樹らしさが少し失われてサクラに似た堅さや表面の硬化が見られることがある、それをヒデくんに話すと、「うん、、、わかる」と頷く。
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 これはまた興味深いぞと言っていると、広葉樹系製材所の親分や、ガレージ社長が次々訪れ、興味を示して呉れる、どなたも最後には「お前らアホやなぁー(笑)」と言って帰って行くのだったが、、、。
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 「泰輔くん(いつもタメ口)、そろそろ宣伝のことも考えてよ、、」とヒデくんが言い始めた。
 まずは鳴らして、他の楽器とセッションでもしてみないとなぁ、と言うと、「それよりブランド名を考えんと、、、」と言うので、小池ドラムでいいやろ、と言うと、意外に乗り気になって「小池ドラムス!、、いいねぇ!、小池ドラムスで行こう!」と簡単に決まってしまった。

  -----その3に続く------

 


 
# by t-h-arch | 2015-05-19 23:54 | 未分類